Story02
新しい技術を工事に取り入れて
現場をできるだけ安全にしたい

土木部横澤 博之Yokozawa Hironori

「土木工事に同じ現場は一つもありません」

土木工事の難しさや心掛けていることを教えてください。

私は平成8年に入社して以来、ずっと土木に携わっています。私が入った頃の水倉組といえば、農業関連の水路や港湾の整備などを得意とする企業というイメージでした。ですが、現在はそれに限らず、幅広いジャンルの工事を行なっています。通常の道路工事もあれば、農業用水の補修もあるし、堤防の建設などもあります。

一口に土木工事と言っても、同じ現場は一つとしてありません。工事の内容や規模もそうですが、周辺の環境、季節や土質など、いろいろな要素が集まっています。また、外作業がメインになりますから、天候も考慮して臨機応変に対応することが必要です。

ですから、土木において上手く仕事をこなすには、それなりの現場数を経験しなければなりません。一つの現場を任される場合、他の会社の方や職人さんなど、多くの人が関わるので、特にコミュニケーションを大切にしています。進捗状況を把握して、自分を含めた皆さんの疲労や体調なども把握しておくことが、安全管理の上でも重要だと思います。

また、土木工事で一番読めないのは、やはり自然相手だという部分です。新潟県内でも堤防が決壊したという報道をお聞きになることがあると思いますが、とにかく圧倒的な力が自然にはあります。苦労して手がけた現場が完成まであと少しという時に、一度の大水で全て流されてしまったことがありました。悔しい思いはありますが、意外と諦めもつくんですよ。人間と自然、これだけ圧倒的な差があるから、「自然が相手だから仕方がない」「またやり直せばいいじゃないか」と。そういう意味では、常に自然の営みを感じる仕事です。

土木業界の現状は変わってきているのでしょうか。

最近のことですが、私もPCを使った社内での作業を担当するようになりました。今手がけているのはダム工事の管理ですが、現場の上空にドローンを飛ばして撮影し、その画像を組み合わせた3DモデルをCADで作成しています。平面の図面よりさまざまな角度から現場を分析でき、工事の進捗確認はもちろん、さまざまな対応策なども立てやすくなります。

このような新しい技術が業界にどんどん入ってきています。例えば、予め入力した形(データ)に沿って、半自動で掘削する油圧ショベルなどをメーカーが開発しています。これは国交省が進めるICT技術活用の一環でもあり、経験の少ないオペーレーターでも正確に土を掘ることが可能です。事務所内で3Dの図面を作成し、それに沿って正確に施工することができるようになるので、効率が上がってコストは下がります。

「現場の人を助ける技術を導入したい」

未来の現場はどうなると予想しますか。

近い将来、ほぼ自動で動く油圧ショベルも普及するでしょうね。簡単に言うとロボットです。ロボットですから、管理するオペレーターが交代すれば休みなく働き続けることもできるし、現場で働く人を危険や厳しい環境から遠ざけることにも繋がります。これは災害などでも大いに役立つ技術だと思います。

水倉組でもこの技術革新の流れについていけるように、日々研究中です。ですから、AIやITのエンジニアを目指す学生の方でも、活躍できるフィールドが今以上に広がると思いますよ。私もCAD関連の資格取得を含めて、自分のためにも新しいことに積極的に挑戦していきたいと考えています。

これまで手がけた中で、印象に残っている現場はありますか。

2014年のことですが、中越のある山間部で管工事をしたことがありました。上流ダムの工事に合わせて農業用の灌漑水路を施工する工事で、道路を幅2~2.5メートル、深さ3~4メートルほどの大きさで掘削して、800ミリの鉄製の管を600メートルに渡って埋めるという内容でした。工期は7月から翌年の3月の中旬だったのですが、周りに田んぼがあり、実際の工事スタートは稲刈りが終わった10月からになっていました。一旦工事が始まってしまうと道路を掘削するので、農家の方が田んぼに行けなくなってしまうからです。

ただ、中越の山奥だったので、12月には雪が降る場所です。実質の工期は2.5カ月しかありませんでした。私は現場代理人だったので、地元の工務店や職人さんたちと算段し、急遽3チームを編成して3カ所から同時に工事を進行することにしました。そうしなければとても間に合わないと判断したからです。また、土を掘削する場合は穴が埋まらないように仮設材を入れて支えるのですが、手持ちは200メートル分ほどしかありませんでした。工期に間に合わせるためには全600メートルを一気に掘削する必要があったので、県外からも仮設材をかき集めてきました。

10月初めにようやく工事に取り掛かりました。もともと地下水が出る山の斜面での掘削ですから、ポンプをフル稼働させながら掘っていると、部分的に岩質(硬い岩状の土)に当たるなどして、予定通りに進捗しません。3チームの足並みもなかなか揃わず、徐々に工事が遅れていきます。現場の工務店の方もこれでは間に合わないと、17時までの作業時間を延長して作業にあたってくれました。私も事故や怪我が無いようにと、その日の作業が終わるまで現場に張り付いていましたが、当時の現場の方の努力には、本当に頭が下がりました。

12月の初旬までくると、「なんとか間に合いそうだ」という目処がついて、各チームの指揮も上がっていました。ですが、残念なことに雪が降ってしまいました。初雪から1週間ほどはほんの10~20センチほどだったので、毎日除雪をしながら管の設置と埋め戻し続けましたが、12月の20日過ぎ、ついにメートル単位の積雪がありました。既に管の設置と埋め戻しは終わっていたので、あとほんの少し、道路舗装を残すのみだったんですが(笑)。

結局、3月になって雪が降らなくなったタイミングを見計らって、除雪をしながらの舗装作業を行い、なんとか工期内の3月中旬に間に合わせることができました。終わった時の感想は、当たり前ですけど「やっぱり終わらない現場ってない」でしたね。みんなで苦労した分、やりきった達成感がすごくありました。一緒に働いた工務店の方、職人さんを今でもよく覚えています。工事後に農家の方から「道路がきれいになった」「よく頑張ってくれた」と言われたのも嬉しかったです。

「地域の方からの感謝の言葉が励み」

土木業の良さは何でしょうか。水倉組を志望される方にメッセージはありますか。

人が使って生活が豊かになったり、便利になったり、そういうものを自分が造れるというのはいいですね。生活に役立つものを造って貢献しているという実感があります。もちろん、無事に工事が終わった時の達成感や、地域の方からの感謝の言葉が励みになるし、やりがいに繋がる部分ですね。

少し前なら新しい物を造ることが土木業の主流でしたが、今は既存の物を修繕・維持することが大部分を占めるようになりました。地域社会の基礎を築いて守るのは水倉組の理念でもあります。これからも土木業に携わりながら、地元に貢献していきたいですね。

西蒲区やその周辺の方なら、看板を見かけることも多いと思います。地域に密着した水倉組ですので、地元で就職を考えている方や地域貢献を考えている方にはちょうどいい会社だと思います。また、建設業界においても、AIやITの技術が急速に発達しています。いろいろなジャンルの学生の方も、そのスキルを生かせると思いますので、興味のある方はぜひ来てください。実は私は工学部の化学科卒なんですよ。学んだ知識はコンクリートの施工管理などに役立っています。実感として、どの会社でも最後は自分のやる気が一番重要なんだと思います。

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