Project
Story02

独自開発の工法を活用し
インフラを改修新川流域二期農業水利事業 
東部幹線排水路工事

  • 建設本部 土木部
    今井 茂Imai Shigeru

※役職・内容は2020年12月取材当時のものです。

経年劣化が進む70年代の構造物を改修

1970年代前半に造られた新川排水機場の修復工事の一環である、排水路護岸改修工事に携わっています。2020年8月から2021年3月までの約220日で、235.7mの排水路の鋼矢板を入れ替え、合わせてストパネ工法による護岸工事を行うという内容です。

土木工事においては、近年、経済性や施工性に加え、耐震性など自然災害への対応、環境への配慮、美観性など、設計・計画に求められるものが増え、工法や材料も次々と更新され、また新しいものが生まれています。当社では、鋼矢板水路の腐食部分を保護し、長寿命化を図るためにストパネ工法を産学共同で開発。「Made in 新潟 新技術普及・活用制度」に登録され、多くの工事に適用してきましたが、今回の工事でも施工スペースの狭い場所で採用しました。既存鋼矢板に並行してプレキャストパネルを設置し、コンクリートを被覆する方法は、大型機器を使わず人の力での施工が可能なため、狭隘な場所で大いに力を発揮するのです。

※別案件でのストパネ工法事例

大地や風など自然を相手にする難しさ

土木が相手にするのは「地面の中」であり、その中は目で見ることができません。ボーリングなどで地質調査はしますが、あくまでもサンプルであり、工事する全エリアがそうとは限りません。そこが土木の難しさであり、面白さでもあります。硬さ・軟らかさ、支持層の位置だけでなく、川の痕跡や木、植物などが地層に含まれていると障害になりうるので、気が抜けません。土木工事にはひとつとして同じものがなく、いつも新たなチャレンジです。

今回の工事でいえば、新川流域は海抜が低い軟弱地盤であるため、機械と材料を安全に据え付けることが大きな課題になりました。用いるのは大型の65tクローラークレーン、材料は長さ11.5mの鋼矢板637枚。作業ヤードを鉄板で頑強に整備し、材料は計画し搬入しました。さらに、工事区画は平野の真っただ中でさえぎるものがなく、風が強く吹き付けます。大型の鋼矢板を吊り上げる作業では、安全性により一層注意を払うよう、施工する関連企業の技術者に徹底しました。

現場代理人として安全性の徹底を図る

コンクリートや鋼などの人工物には寿命があり、高度成長期に整備されたインフラや構造物が更新期を迎える中、土木部門でも改修工事がここ数年で増えていると感じています。地域や季節、材料や工法、また法令や基準などにより、工事内容は多岐に亘りますが、その中で変わらないもの、変えてはいけないものは「安全の順守」です。

小さな事故でも様々な影響を及ぼすこと、事故の多くがヒューマンエラーであることを踏まえると、慎重かつ安全に作業することが、品質だけでなく、施工性の向上や工期順守に繋がるのです。これを工事に関わる全員に徹底することが現場代理人の役目。毎日の朝礼を有効に使い、情報の共有、注意喚起、そして、基本を大切にすることを伝えています。一方、気象システムによる気象の把握、定点カメラによる現場状況の把握、緊急時のメール配信などを利用して安全性担保も行っています。現在、工期の折り返し点に差し掛かったところですが、残りの期間も安全第一を心がけ、工事を進めていきます。

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