Story04
汚れのない真っ黒なアスファルトの匂い
新しい道路ができると達成感があります

舗道部田村 篤拡Tamura Atsuhiro

「団結して仕事に取り組んでいると感じます」

この業界を志した理由を教えてください。

地元で働きたいと思っていたのと、高校が土木科だったので、卒業後はすぐに建設業に携わりたいと思っていました。水倉組に入社が決まって、「これから現場でバリバリ働けるぞ」と思っていたら、配属されたのは道路のアスファルト合材を作るプラントだったんです。仕事内容としては合材の試験と出荷作業でした。もちろん、道路づくりにとって合材の生産は大切なことですが、自分がイメージしていた仕事内容と違っていたので、ずっと現場に出たいと考えていました。

プラントでの仕事は6年間続けましたが、どうしても現場に出たかったので転属願いを出し、それが叶って土木部に入ったのが2006年です。

実際に現場に出てどうでしたか。

やっと現場に出れた喜びもあり、先輩方に教わりながら張り切って働きました。水倉組は各部署の先輩が丁寧にノウハウを教えてくれるので、現場で培われた技術はもちろん、100年以上続く土木・建設業に対する姿勢が後輩に受け継がれていくベースがあるんだと思います。社内や現場のコミュニケーションも良く、団結して仕事に取り組んでいると感じます。

ところで、土木部に入ったまでは良かったのですが、本格的な土木現場での作業は初めてだったので、失敗もしましたね。一番思い出に残っているのが、測量でミスをしたことです。西蒲区内にある道路で、U字溝(側溝)の設置工事しているとき、レベル(高さを図る機器)を読み間違って、10センチほどずれて施工したことがありました。丁張り(構造物等の位置を示す糸)通りにU字溝を20メートルぐらい設置すると、どう見ても勾配が反対になるんですよ。これはおかしいと思って改めて測ってみたら間違いに気づきました。

すぐに現場監督に報告して、職人さんたちに手戻り(施工のやり直し)を伝えに回ったのですが、あれは辛かったですね。幸い埋め戻し前だったので、一度U字溝を穴から取り出して掘削をやり直すことができました。ただ、私もそうですが、せっかく設置、施工したものをもう一度やり直すのは、どっと疲れるというか、がっかりするというか。それが分かっていたから、みなさんにやり直しを言って回るのは堪えました。

それ以降は、測量など全体に関わるような作業の場合、不安があったら複数人で確認するように心がけています。先輩に意見をもらうなどして、周りに迷惑をかけないようにしています。辛い思い出ですが、それがあってこそ今の自分の作業に生きていると思いますね。安全第一はもちろんなんですが、大きなものを相手にする仕事ながら繊細な部分もあるので、納得できるまでチェックすることが重要ですね。

「雨上がりの道路の匂いが好きですね」

現在舗道部に所属し、道づくりの魅力をどのように感じていますか。

近年、道路の新設や修繕の工事が増えてきたため、舗道部として人員が足りなくなりました。そこで、プラントでの作業経験もある私が2010年に土木部から舗道部に異動となりました。私としては現場で働けることに変わりはないので、これまでと変わらずバリバリ働こうという意気込みでした。

道路工事の一番の魅力は、やはり地図に残る仕事だということだと思います。PCやスマホの地図検索で出てくる道が自分が手がけたのもだと、家族や友達に自慢できるじゃないですか。自分で施工した道のことは竣工後もずっと気になるので、近くの現場だったり、休日のドライブなどでも、遠回りでもそこを通るようにしたりします(笑)。道路がデコボコしてないかとか、平坦性はどうかなとか、いろいろ考えながら車で走りますね。

道路の施工に関することで言えば、道路のアスファルトがきれいに仕上がって、真っ黒なのを見ると嬉しくなりますね。近隣の方はもちろん、これからこの道路をいろいろな人が使ってくれると思うと、仕事にやりがいを感じます。あと、新しいアスファルトの匂いも好きですね。雨上がりに水を弾くきれいな道路とその匂いって、なんかいいじゃないですか。

これまでで一番苦労した現場は何でしょうか。

本社のすぐ近くですが、平成25年に西蒲区内で新しく道路を施工した時が一番苦労しましたね。私が初めて現場代理人になった工事でもありました。延長は1,200メートルで、他の業者さんが近くで新しい橋の橋梁の工事をしていました。工期は6月末から翌年の3月半ばまでということで、夏の一番暑い時期から冬まででしたね。

通常であれば砕石を入れて敷き均して、どんどん工事を進めるのですが、周囲が田んぼなので、施工の本格的な開始は稲刈り後の10月からになりました。道路工事に油はつきものなのですが、周囲の農業用水路に影響があってはいけません。施工を注意するとともに、分解の早い素材を使うなどの配慮が必要でした。また、すぐ隣の橋梁工事の業者さんからは、工事途中の道をダンプなどが通行する工事道路として使いたいとの要望がありました。

2つの工事が重なる現場となりましたが、上手くやり繰りすればトータルで工期を短縮できます。短縮できれば結果的に地域の方のご負担が減ることにも繋がります。工事用道路の件は上司と相談し、基層と表層を2回に分けて施工し、各5センチずつ施工すればトラックが走っても大丈夫ということで、それを踏まえて計画しました。

10月に工事が始まって、12月に差し掛かると雪がちらつき始めます。寒い中での工事になると怪我も心配になってくるので、声を掛け合って各々が作業前にストレッチを行うなどをしました。基本的なことですが、現場ではコミュニケーションが一番大事なんです。社長にも安全パトロールで現場を訪れていただいたことがあり、一同で改めて安全に対する気持ちを引き締める機会もありましたね。

自分が管理した初めての現場だったので、工期は常に心配でした。12月後半から雪の日が多くなり、ついに1月半ばには10センチほど積もってしまいました。これは大変だということで対応策を考えましたが、待っていても雪は溶けないので除雪作業になりました。新潟の冬は特に、自然との戦いが多いですね。最初に重機で除雪するのですが、既に施工した部分を傷つけないように、細かい部分は手作業になります。雪が残っていてはきれいに施工できないので、この作業は本当に苦労しました。

職人さんを含めて総出で雪かきをして、晴れた日に施工するということの繰り返しです。なんとか工期内に工事が終わった時はホッとしました。正直、「やっと終わった」というのが感想です。後日、発注者様からは「良い出来栄え」とのお褒めの言葉をいただきました。本当に達成感がありましたね。道路の仕上がりの良さについては、舗装の継目などの処理、平坦性を保つコツを先輩から教えてもらえたのがとても勉強になりました。これも、長年積み重ねられた水倉組のノウハウのおかげだと思っています。

「やる時はやるメリハリのある会社です」

自身が考える水倉組の印象をお聞かせください。

水倉組は、社員同士はもちろん、職人さんや関連会社の方とのコミュニケーションもよく取れている会社だと思います。それが長年この地で続いてきた会社の風土なんでしょうね。上司や先輩も気兼ねなく話せるし、仕事やプライベートに関する悩みの相談にも乗ってくれます。和気あいあいですが、やる時はしっかりやるという感じで、メリハリのある会社です。

新しく水倉組に入る方も、やる気があれば誰だって活躍できると思います。私には現在3名の後輩がいますが、これまで先輩に教えてもらったことを伝えて、水倉組の技術やノウハウを絶やさないようにしていきたいですね。

西蒲区で100年もの間存続している企業ですから、地元からの信頼もひしひしと感じます。これまで多くの方が築き上げてきたものを大切にしながら、これからも仕事に励んでいきたいと思います。

Another Stories