Story03
建物の外部足場が無くなり
姿が見えた時は感動します

建築部渡邉 大介Watanabe daisuke

「建築業の人は最後まで建築業です」

建築業に携わることになったきっかけと、その魅力を教えてください。

もともと建築学を学んでいましたが、現場というよりも設計やデザインの方面を志望していました。ですが、水倉組に1996年に入社し、現場(建築部)に配属されました。水倉組を選んだのは、地元型で、転勤が少ないことにメリット感じていたからです。入社前はやはり、建築業の現場というと体力的にきついのではとか、危険なことが多いんじゃないかとか思っていました。確かにそういう面もあるのですが、実際に働いてみると体を動かして汗を流すのも悪くなかったです。以来、入社から21年間ずっと現場です。

業界ではよく「建築業をやっている人は最後まで建築業だ」といわれますが、私も本当にそうだと思います。多くの工事を経験して現場を任されるようになれば、自分の裁量で仕事が進められます。同時に責任も重くはなりますが。事務職などはどうしても座りっぱなしで息がつまる時があると思うのですが、春夏秋冬、新潟の四季を感じながら体を動かす仕事ができるのは気に入ってます。一つ一つの現場内容が異なり、同じことの繰り返しがないのも魅力です。

とはいえやはり現場ですから、雨や雪が降る中で作業をしたり、泥に足を取られながらの作業もあります。ただ、近年は現場の環境も良くなってきています。例えば、現場事務所はエアコン付きで、靴を履き替えて入るから室内がきれいに保たれています。また、現場では砂埃を防止する手法もあります。ひと昔前のイメージとは状況が変わってきていますね。

土木や舗装にもそれぞれの良さがありますが、建築業の一番良いところはやはり分かりやすいことでしょう。学校やホールなど、大きな建物ができれば特に実感があります。また、大きな建物でも、基礎や構造体、外装、内装まで、いろいろな技術が必要なので、多くの技術を覚えられるから応用も利きますね。建築部から土木部へ応援に出ることもあるんですよ。

これまで苦労した現場はありましたか。

今まで携わってきた建物は30棟ぐらいでしょうか。毎回毎回それなりに苦労していますけどね(笑)。公共の工事が多く、どの建物にも思い入れがあるのですが、一番苦労したのは巻(現西蒲区)でゴミの焼却場を施工した時ですね。

矢板(土の壁を支える板)を打ち込みながら、建物の地下部分(プラント)を深さ15メートルほど掘ったのですが、ある程度掘り進むと、矢板の状況確認で、掘削場所に降りる必要があったんです。私も何度も降りました。掘っている部分には基準となるワイヤーが張ってあり、それと見比べて矢板の傾斜を確認するのですが、ひと度雨が降ったりするともう泥だらけで、矢板にへばりつくように移動しましたね。10メートル以上の土の圧力で頑丈な矢板は徐々に倒れますが、それが想定内かどうか、重機を近づけても大丈夫かの判断も必要になりました。巨大な構造物でも、繊細な判断が必要なこともあります。建築の難しいところですね。この現場では、プラントの工事自体もとても難しくて、調整にも苦労しました。

でも意外に、苦労した現場で一緒だった人ほど仲良くなったりするんですよ。この時一緒に働いた人とは、今でも月に一度ぐらいのペースで飲みに行きます。お互い、「一緒に苦労した戦友」という意識なんでしょうね。

「業務に欠かせないコミュニケーション」

仕事で大切にしていることは何ですか。

やはりコミュニケーションです。安全に対する配慮も基本は声がけなんですよ。例えば現場を見回る時、暑い日だったら若手に「ちゃんと水分補給をしろよ」とか、建材が置かれている周辺では「足元にちゃんと気を配れよ」とか言います。

それと、全国規模の大きなゼネコンだと、毎回現場ごとに携わる職人さんや業者さんも違うと思いますが、地域密着の水倉組の場合はおなじみの人が多いです。私の場合、入社したての頃にお世話になった職人さんと今でも一緒に仕事をすることがあります。「おまえんとこの親父さんよく知ってるよ」とか言われることもあるんですよ(笑)。仕事の中にも地域のコミュニティーが生きているし、そういう意味でもコミュニケーションは重要ですね。

建設業に携わって良かったというエピソードはありますか。

約6年前に現場に携わった小中一貫校があるのですが、印象に残っていますね。私が施工管理技術者として担当した一番大きな建物です。工事の流れは、既存の小学校のグラウンドに新校舎を建設し、次に旧校舎を壊してグラウンドを整備しました。学校の規模は3クラス6学年の約500人で、そこに中学校が加わって小中一貫の校舎になるというものでした。

この校舎の設計では、道路を挟んだ体育館に連絡橋を渡すために、基礎を通常より1メートル高くする必要がありました。完成すると校舎も高くなり、入り口からスロープで学校に駆け上がっていくような印象です。工事内容は少し複雑になりましたが、子どもたちにとってみれば景観に変化が生まれるので面白いのではと思いました。また、設計事務所の意向で外壁の一部にレンガを使用したのですが、それも初めてだったので工法を勉強しながら施工しました。特殊な造りもあり少し時間がかかりましたが、ありがたいことに工事はほぼスケジュール通りに進みました。

校舎の完成まであと少しというところで、現場で話し合ったことがありました。それは在校中の6年生のことです。工期は約1.5年だったので、着工した年に6年生だった子どもは新しい校舎を使うこと無く卒業になります。そこで、こちら(水倉組)から、6年生が卒業する前に見学会を行わないかと先生方に提案しました。すぐにご了解いただいて、完成前と完成後(仕上げ中)の2回、見学会を実施しました。当日は作業を一旦ストップする必要があるですが、子どもたちに少しでも喜んでもらえたらと、現場の皆で協力しました。

実際に見学した子どもたちは、「こんな感じでできるんだ」「天井の中はこうなっているのか」など、初めて見る建物の構造に興味を持っていたようです。もちろん「きれいになった」という喜びの声もありました。子どもたちのいろんな表情が印象に残っています。こういった取り組みを通し、将来私たちの業界に進んでくれる子どもがいたら嬉しいですね。

無事工事が終わった竣工後に、子どもたちから感謝の印として学校に代々伝わるというアサガオの種をもらいました。結構な量で、職人さんを含めて皆がもらいましたね。実はこのアサガオを家で育てていて、夏になると花を咲かせています。今でもきれいな花を見る度に、子どもたちの笑顔を思い出して嬉しくなりますね。

「業界でちょうどいいポジションが水倉組です」

これから水倉組を志望する人にメッセージはありますか。

建設業は仕事がきつい面ばかりだと思われがちですが、どんな仕事でも良いところと辛いところは必ずあります。多くのスタッフによる仕事の積み重ねが建物になります。苦労した分のやりがいがきっとあると思いますよ。

水倉組は、会社の規模としてはちょうどいいポジションだと思います。大きなゼネコンとはJVなどで組むことがあるし、各地の工務店とも協力して現場をこなします。大規模な現場で最新の技術にも触れることができるし、現場で職人さんの技を見ることもできるので、いろいろな知識や経験を吸収できる環境ではないかと思います。

今年は新人が建築部に2人入ってくれました。まだ一緒の現場にはなっていないのですが、これまで私が経験してきたこと、溜め込んできたノウハウをどんどん伝えたいです。近い将来、一緒に現場で活躍してくれる「戦友」になることを期待しています。

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